DAILY SHORT COLUMNS - Daily Business -

 
2004.11.26 ■学生自らが企業経営 定員15人の大学院、来春開校へ

 学生自らが会社を設立して、経営を学ぶユニークな大学院「光産業創成大学院大学」が来春、静岡県浜松市に開校する。小柴昌俊・東京大名誉教授のノーベル物理学賞受賞を観測装置の開発で支えた浜松ホトニクスが中心になって準備し、文部科学省の審議会が25日認めた。新たな産業を生みだす人材の育成を目指す。

 設立準備財団には、トヨタ自動車や中部電力など約50の企業や個人も出資した。博士後期課程3年間のみで、全国の企業や大学院から入学定員15人を募る。ビジネス計画を提出してもらい、書類審査と面接で選考する。

 入学1年目から自らのアイデアで、光バイオや光エネルギーなど、光に関する最先端技術を使う会社を設立、教官の指導や助言を受けながらベンチャー企業の経営を実践的に学ぶ。設立資金は、賛同した大学や企業、教授が共同出資する。

 レーザー核融合が専門の中井貞雄・大阪大名誉教授が学長に就任し、大学や企業から教員を迎える。理事長に就く晝馬(ひるま)輝夫・浜松ホトニクス社長は「日本の若者に起業家が多く育てば、日本の閉塞(へいそく)感は打破できる。日本発の新産業作りにもつながる」と話している。

〔朝日新聞〕


2004.11.24

■日本IBMに平均年齢60歳の新撰組参上!――OBを核とした外注部隊で中小企業の販路を拡大

日本アイ・ビー・エム(株)は17日、“IBMシニアプロ コミュニティー”を発足したと発表した。

同社の中で中堅/中小企業向けにサーバーやソフトを核としたビジネスを担当する、ゼネラルビジネス事業部の堀田一芙常務執行役員の発案による、ちょっとほかでは聞いたことがない、画期的な営業システムである。日本独自の戦略であり、外資系企業特有の“なんでも短期で結果を出す”という使命を負ったものではない。

“IBMシニアプロ コミュニティー”とは、その名の通り、シニア世代のプロフェッショナル集団だ。何のプロかと言えば、IT業界全般。業界事情に精通した、すでに所属企業をリタイアした第二の人生を謳歌中のベテランたちが、そのキャリアを生かして日本IBMには属さずにフリーランスのコンサルタントとしてIBM製品のシェア拡大に力を注ぐというもの。それも、日本IBM本体のコンサルティング会社に比べて半分から3分の1程度の安いコストで対応するというから驚きだ。日本IBMに常駐する形式ではなく、基本的に個人あるいは現在の所属企業の一員として“IBMシニアプロ コミュニティー”の命を受ける。

実態としては、11月上旬に約20名の精鋭たちが“IBMシニアプロ コミュニティー”第一期生として終結し、キックオフを済ませたばかりで、活動はこれから。平均年齢は61.6歳だそうで、現在日本IBMの社員としてゼネラルビジネス事業部で活躍中のスタッフの平均年齢40歳に比べると、親子ほどの差がある。知識やスキルだけでなく、この年の功にも大いに期待がかかるのは言うまでもない。

メンバーは一般公募はせず、コネクションを通して慎重に人選したそうだ。今後もむやみにメンバーを増やすことはしない。条件は、IBMはもちろん、それに限らずIT系企業でシステム部門の責任者や役員、経営者、コンサルタント等の経験者、さらには中小企業診断士などの公的資格保持者などとなかなかハードルが高い。しかも、フリーランスでありながら、“BMシニアプロ コミュニティー”の仕事を最優先で遂行する熱意のある人材を選んだという。世話人には、“IBMシニアプロ コミュニティー”の活躍の場となるゼネラルビジネス部担当取締役をかつて務めた竹内雄司氏(60歳)があたる。同氏は、日本IBMを離れた後、(株)アマダ(金属加工機大手)の副社長、その関連会社(株)アマダメトレックスの代表取締役社長等を歴任し、リタイヤ後もそれまでの経験を生かしてかつての同僚たちと営業代行業の会社(株)ヴェロシティコンサルタンツを経営している。竹内氏は、同日付けで開催された記者会見で「退職後も元気いっぱいの仲間がたくさんいる。まだまだいくつもの“プロジェクトX”を僕らは作れると確信している。“IBMシニアプロ コミュニティー”で元気なOBたちをネットワーク化し、新しいプロジェクトXをやる」と宣言した。

強すぎるがゆえに災いする、中小企業市場でのIBMブランド
“IBMシニアプロ コミュニティー”発足までの経緯は、堀田常務が20004年1月より中小企業をターゲットとするゼネラルビジネス事業部を担当以来、約10ヵ月で300人もの経営者層と面会を重ねて体得した結論だという。

「これまで大手企業ばかりを相手にPCからソフトまでさまざまなIBM商品の営業を担当してきたが、中小企業の皆さんには大手と同じ手法では通用しないと実感した。高いコンサルティング料をいただくのは無理な領域だということ、それと何よりも交渉時に経営者層が出てこられるので、40歳前後の若手では説得しきれない。経営者層の心の襞まで汲み取れるような、人間としての奥の深さがないと」(堀田常務)。

IBMは、日本IBMのみならず、ワールドワイドなレベルで、大手企業に大規模なシステムをバンバン導入させ、成長してきた企業だ。ブランド力が強ければ強いほど、「品質はいいのだろうが、高い、迅速な納期を期待できない、中小を相手にしない」というイメージが先行し、ここ数年力を注いでいる中小企業市場の開拓には苦戦が続く。特に地方では国産メーカーの地域密着型の営業力が幅を利かせ、IBM製品へのリプレースを提案してもなかなか攻略しきれない。

堀田常務がゼネラルビジネス部を担当して以来、中小企業市場攻略のためにまず実施したのが“エコシステム”の構築だ。要するに、いろいろな会社とパートナーシップを組んでバリューチェーンを作り、それぞれの強みを生かしてシェアを広げていこうというもの。日本IBMの直販部隊だけでなく、IBM製品に関連したさまざまなパートナー企業がソフトや周辺機器を提案し、三つ巴、四つ巴でお客様を攻めるのである。中小企業のお客様は、二ーズが多様で、IBMが提示したパッケージでは満足してもらえない場合が多い。納期に関しても丸ごとIBMではスピーディーさに欠ける場合も出る。コストや既存の社内システムを詳細に分析し、さまざまなメーカーの周辺機器やソフトウェアを組み合わせた提案でないと、IBM製品の採用には至らないのである。堀田常務は、SIerをはじめとする数多くの全国各地のパートナー会社とタッグを組んだエコシステムにより、今年は中小企業市場に果敢に切り込んで来た。

今回の“IBMシニアプロ コミュニティー”も、そうしたエコシステムの一環であり、シニアプロのメンバーもパートナー会社と一緒に動き、お客様との契約もシニアプロ個人のコンサルが実を結ぶ形で成約するのが理想だとする。個人ゆえに手薄になりがちなマーケティングの部分やオンデマンドワークプレイスの面を日本IBMがシニアプロに対して支援し、IBM製品のシェア拡大に尽力してもらう。

日本IBMでは、すでに数社を対象にシニアプロを利用した営業活動を計画しており、「IBM製品導入の基本的なメリットの説明やシステム設計の方針提案の部分で、まず、シニアプロが動き、青写真を描いたうえでパートナー会社が動き、成約にもっていく」と竹内氏は言う。今にも動き出しそうな態勢は固まっているようだ。ただ、最後に疑問が残った「現役若手コンサルよりもキャリアを有したシニアたちが、従来の半分から3分の1のコストでコンサルティングを行なえるのだろか」の部分に関しては、「堀田さんからこの話をもらったとき、これだけ思い切ったことをするには、コスト面でもウマミを見せないと意味がない。もう十分働いていらした方々なのだから、報酬面でもそんなにガツガツしないで、IBMのために働いてくれる人を集めたい」と言われたと、竹内氏は笑う。そのあたりを理解してくれた人選ということで、“IBMシニアプロ コミュニティー”の現在のメンバーの7割は、やはり日本IBMのOBとなったという。(株)日本経済新聞社が主催する“働きやすい会社ランキング”で今年トップに輝いた日本IBMだけに、OBたちの志はまさに新撰組そのものに違いない。新撰組の志で、プロジェクトXをもう一度と挑むベテランたちの真価が“IBMシニアプロ コミュニティー”で問われる。

世代交代の煽りをくい、ややもすると最前線から身を追いやられがちなシニア世代が、中小企業市場を舞台にどう暴れるのか、具体的な成果がどう出るのか、興味は尽きない。

プレスリリース (http://www-6.ibm.com/jp/NewsDB.nsf/2004/...)
日本IBM (http://www.ibm.com/jp/)

(B2B事業部 大槻眞美子)

〔ASCII24〕


2004.11.21

■日本経済、下り坂に入るのか――景気の行方、見方二分


 日本経済は回復の「山」を越え、「下り坂」に入るのか――。ここに来て勢いをなくす統計データが相次ぎ、景気の先行きへの心配が広がり始めた。後退への転換は避けられないのか。踏みとどまって息の長い拡大を続けるのか。景気の行方を左右する要因を分析した。(石川尚文、琴寄辰男)

●外需の陰り下降要因

 中国各地の建設現場で動く約2100台の新型ショベル。その1台ごとの1日あたり稼働時間を、販売元の建機大手のコマツはリアルタイムで把握している。今年から標準装備した稼働管理システムを通じて上海にある統括会社にデータを集め、東京の本社に送る。

 空前の建設ラッシュで好調を続けてきた数値に変化が起きたのは今年5月。中国政府の投資抑制策がきっかけだった。大型連休明けに、ある地域での稼働時間が14%減少した。コマツ本社はすぐに現地工場に生産調整を指示。国内製の基幹部品の中国向け積み出しを減らした。稼働時間はその後も緩やかな減少傾向。反転の兆しはまだ見えない。コマツの9月中間決算全体は売上高、利益とも過去最高だったが、中国での建設・鉱山機械事業は前年同期比40.2%の減収だった。

 9月中間決算では、多くの大企業の業績は好調だが、海外市場では変化の芽も見え始めている。

 生産・雇用の増加が続く景気拡大は、景気過熱やインフレ抑制のための金融引き締めなどの景気抑制策をきっかけに、後退に転じることが多かった。だが足元の日本経済はデフレが続き、失業率もまだ高い。国内の人も設備も、その需給ギャップは埋まっていない。過去の経験からすれば、まだ回復の途上にあるといってよい。

 それでも、景気の「山」越えの懸念が広がる最大の理由は、日本経済にとって海外の需要動向の影響が大きいからだ。

 半導体試験装置大手、アドバンテストの丸山利雄社長は9月中間決算の説明会で、世界の半導体出荷金額の動きを示すグラフを示しながら、「我々のビジネスもこれと同じ動きをする。時々これにドライブがかかる」と述べた。

 半導体出荷額には、シリコンサイクルと呼ばれる循環がある。商品の世代ごとに大型の設備投資が行われて需給が崩れるために起きるとされ、通常4年周期。前回の「山」は00年後半で、経験則でいえば「山」が来ていてもおかしくない。

 大和総研の牧野潤一シニアエコノミストによると、足元のサイクルはすでに今年6月にピークに達した可能性が高い。牧野氏は「日本の景気循環は、電気機械や電子部品の生産動向に左右されるため、世界のシリコンサイクルの影響を受けやすい」とも指摘する。

●内需堅調支えに上昇も

 UFJ総合研究所の嶋中雄二・投資調査部長は、今年6月を「山」に景気はすでに後退局面入りしている可能性がある、と指摘する。

 景気後退の定義は、内閣府の景気動向指数の一致指数を構成する11指標のうち過半数が下降に転じ、その状態が6カ月以上続くこと。これに基づいて統計をチェックすると、「五分五分の確率で、すでに後退局面といえそうだ」という。

 世界経済の減速に伴う輸出の鈍化に加え、原油や素材価格の上昇の半面で、販売価格を上げられない企業の増益幅が縮まってきたためとみる。

 内閣府が景気の「山」の日付を暫定的に決めるのは、実際の「山」の1年以上後になるのが通例だが、05年度までに後退局面入りする可能性を指摘するエコノミストも出てきている。

 だが、竹中経済財政相は「上り坂の中での微調整」と、当面景気後退には至らないとする。民間エコノミストの間でも同様の見方が多数派だ。米国経済の復調で海外需要の減退は一過性に終わるとの判断や、雇用環境の改善を受けて内需が堅調で、景気回復のすそ野が広がっていくとの見通しからだ。

 デジタル関連分野で在庫の積み上がりも、前回の情報技術(IT)景気崩壊時の反省から企業が早めに対応しているため、「すでに出口が見えつつある」(みずほ総合研究所)との評価もある。93年11月からの拡張期は95年ごろに一回弱含んだが、それを乗り越えて長期化した。今回も景気の底割れを回避できるかどうかが注目点となる。

●政策判断が大きく左右

 景気の拡大・後退には、政策判断も影響する。過去の金融政策ではバブル景気の膨張時に低金利を維持し、崩壊後の金融緩和も遅れて後遺症を深刻にした。97年には、金融不安の中で消費税などの国民負担を引き上げたことが、景気後退を招いたとの見方もある。

 これら「失敗」の背景には、景気の強弱を見誤ったことがありそうだ。

 現在、国債発行残高が増え、財政の持続性が問われる中で公共事業の削減も続く。金融政策は量的緩和が継続されているが、「通貨供給量の伸びが低い」との指摘もある。国民負担増になる個人所得税の定率減税の縮減・廃止も視野に入っている。これらの要素とどう向き合うか、景気の現状分析を踏まえた政策判断が重要になっている。

〔朝日新聞〕


2004.11.19

■不正アクセス:
何が禁止法で処罰されるべきか ACCS事件の法廷から

 ネット社会の進展に伴ってネットを使った不正行為がクローズアップされ、不正アクセス禁止法が制定された。では「不正アクセス」という行為は、いったい何を指すのか? どのような行為が、不正アクセス禁止法で処罰されるべきなのか? この法律の解釈をめぐる今、激しい論争が、昨年起こったコンピュータソフトウエア著作権協会(ACCS)不正アクセス事件の法廷を舞台に繰り広げられている。【佐々木 俊尚】

■■日頃から脆弱性指摘の活動

 ACCS不正アクセス事件の発端となったのは、2002年11月に渋谷のライブハウスで開かれたセキュリティー関連イベント「A.D.2003」だった。この会場のショートプレゼンテーションで、officeと名乗る男性がACCSのウェブサイト「ASKACCS」の脆(ぜい)弱性について詳細に指摘したのである。

 office氏は当時、京大研究員。同大学の工学部を卒業した後、大学で非常勤研究員の職に就いていた。だが本業よりも、セキュリティー業界での派手な活動の方が有名だった。政府機関や大企業などのウェブサイトの脆弱性を次々に発見し、それらを雑誌やイベントなどで指摘するという活動を長く続けていたからである。彼がA.D.2003でASKACCSの脆弱性を説明したのも、そうした活動の一環だった。

 ASKACCSは著作権とプライバシーに関する質問を行えるサイトで、質問したい人が画面上の入力フォームに住所・氏名・電話番号・所属を記したうえで質問を書き込むと、後日ACCSの側から回答が掲示板上に書き込まれる仕組みになっている。質問者の個人情報についてはいっさい開示されない原則だ。

 「プライバシーに関するサイトを検索していて、偶然ASKACCSを見つけた」(公判での被告人質問)というoffice氏はこの入力フォームが、CGIプログラムで書かれていることに注目した。CGIはコモン・ゲートウェイ・インターフェイスの略で、ウェブサーバーから外部のプログラムを呼び出して使える仕組みのことである。ASKACCSの入力フォームは、csvmail.cgiというCGIプログラムを呼び出し、フォームに入力された文字列を確認のために画面に表示する機能を持っていた。

■■簡単だった情報取得

 office氏はこのcsvmail.cgiに、入力した文字列ではなく、csvmail.cgiのプログラム自体を渡せば、プログラムのソースが表示されるのではないかと考えた。CGIプログラムは通常、テキストで書かれたスクリプト言語で作られているからだ。そして彼はASKACCSのHTMLソースを若干書き換えて送信し、予想通りの結果を得た。csvmail.cgiのソースを読み取ることができたのである。このソースの中にはcsvmail.logという記録ファイルのようなものの存在が書かれていたため、再びcsvmail.cgiにcsvmail.logを渡した。そうすると、csvmail.logの中身が見事に表示された。そしてその中には、ASKACCSに質問した1184人の個人情報が含まれていた。1)IPアドレス、2)氏名、3)年齢、4)住所、5)電話番号、6)メールアドレス、7)質問内容−−である。

 office氏はこの脆弱性を、A.D.2003で紹介。この際、個人情報の一部をパワーポイントファイルにコピーし、会場の大画面に表示させた。さらにこのパワーポイントファイルが本人の知らないうちに会場でダウンロード可能な状態になっていたため、結果として後に匿名掲示板の2ちゃんねるなどに、個人情報が流出する結果を招いてしまったのである。

■■不信感を増幅させたACCS

 office氏はイベントの日の夜には脆弱性の存在と、その結果として個人情報を含んだファイルを入手したことをACCSとセキュリティー事故対応組織のJPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)にメールで連絡した。その後、相当回にわたってACCS側とoffice氏の間では激しいメールのやりとりが行われた。ACCSに対して批判的な態度に終始したoffice氏に対し、ACCS側が不信感を増幅させたことも一因となった。ACCS関係者のひとりは後に、「われわれがあわてふためいているのを、横目で見ながら楽しんでいるようにさえ見えた。個人情報さえ盗み読まれて、脅迫されているのではないかとも思った」と振り返っている。

 こうしたやりとりの結果、ACCSは威力業務妨害容疑で警視庁に被害届を提出。そしてoffice氏は今年2月に同容疑と不正アクセス禁止法違反容疑で逮捕されることになる。そして不正アクセス禁止法違反の罪だけで起訴され、公判は5月26日にスタートした。

 起訴状は次のように書かれている。

 「被告人は法定の除外理由がないのに、平成15年11月6日午後11時23分55秒ごろから同月8日午後3時47分50秒ごろまでの間、合計7回にわたり、京都市内ほか数カ所において、パーソナルコンピューターから電気通信回線を介して、アクセス管理権者であるファーストサーバ社が大阪市内に設置したアクセス制限機能を有する特定電子計算機であるサーバーコンピューターに、当該アクセス制御機能による特定利用の制限を免れることができる指令を入力し、上記特定電子計算機を作動させて上記アクセス制御機能により制限されている特定利用をしうる状態にさせ、もって不正アクセス行為をしたものである」

 争点となっているのは、2点である。まず第1に、起訴状の「アクセス制御機能を有するサーバーコンピューター」という部分。つまりoffice氏が侵入したとされるASKACCSのCGIプログラムには、アクセス制御機能があったのかどうかという点である。そして第2に「特定利用の制限を免れる指令を入力し」という部分。CGIプログラムに引数を渡すという行為自体が、「特定利用の制限を免れる指令」といえるのかどうかという点だ。

 いずれもCGIという特殊なプログラムをどう捉えるかによって解釈は変わってくる。裁判所がどう判断するかはまだわからないが、すくなくともセキュリティ業界では「CGIにはアクセス制御と呼べる機能はない」「CGIプログラムに引数を渡すのは当然の行為で、これを不正アクセスと認定するのは行き過ぎ」と受け止めている専門家は多いようだ。不正アクセス禁止法の拡大解釈ではないかと危惧する声も少なくないのである。

 法廷でも、この点についての議論がことあるごとに繰り返されている。圧巻だったのは、10月20日に行われた被告人質問だった。検察官は「あなたはACCSが意図していない利用を行ったのではないか?」「ウェブサーバーにはFTPでアクセスするのが通常の方法なのに、あなたがHTTPでCGIにアクセスしたのはイレギュラーではないか?」といった質問を立て続けに繰り出した。つまりoffice氏の行為がACCSの意図していない方法で「勝手に利用した」ものであることを立証しようとしたのである。

■■「意図」めぐって対立する検察と被告、弁護側

 これに対し、office氏は次のようなたとえ話を持ち出し、反論した。

 「たとえば書籍で、カバーをめくって隠されている表紙を見る行為を考えてみると、それは本を作成している側が狙った本の見方ではないかもしれません。しかし、本を買った私には本を作った人がどのような意図でその本を作ったのかはまったくわからないし、私がカバーをめくるという行為は、本を作った側の意図とは関係なしに、正当と認められるべき行為だと思います」

 検察官はさらに食い下がり、「ACCSはじゃあCGIプログラムにあなたのような方法でアクセスしてもいいと意図していたということになるんですか」と聞いた。「そう考えた人もいるかもしれません」とoffice氏。そして検察官が「もし意図していたんだったら、あなたがわざわざ脆弱性を指摘しなくてもいいじゃないですか」と畳みかけると、office氏は再びたとえ話を持ち出して反論した。

 「以前、アイスターという会社が経営していたホテルが、ハンセン氏病の患者の方々の宿泊を拒否したことがあります。そして、この問題に対して抗議した人の名前を、アイスターがウェブサイト上で公表してしまった事件も起きました。これはアイスターが意図して行った行為だったのですが、これに対しては多くの人が批判し、それでアイスターもその誤りに気づいて是正しました。だから、仮にその組織が意図していたとしても、指摘することは必要だと思います」

 一方、弁護団は冒頭陳述で、不正アクセス禁止法の運用のあるべき姿についての論を展開した。その論をかいつまんで言えば、不正アクセス禁止法というのは行政法に近い性格を持っており、どのような行為が不正アクセス禁止法に抵触するのかということを厳密に定義されなければならないというものである。検察官が「被告はACCSの意図していない方法でASKACCSにアクセスした」という点を捉えて不正アクセスだと主張しているのに対し、「そのような曖昧な概念で処罰するのはおかしい」と異をとなえたのだ。

 そしてアナロジーとして、交通法規に関わる問題を上げた。交通法には「交通安全は守らなければならない」という抽象的な概念は存在するが、「交通安全を守っていない」という曖昧な概念だけで処罰されることはない。交通法規は「時速○○キロメートル以下」「信号交差点では停止線の手前で停止する」といったこと細かな基準が定義されており、違反者はこの基準を破ったかどうかを厳密に検証される。車を運転しているドライバーがパトカーに止められるのは、「あなたの車は時速132キロメートルで走行し、時速80キロの制限速度を破っていた」と具体的な証拠があるからであって、「あなたの車は交通安全を守っていなかった」という曖昧な理由でキップを切られることは決してない。

■■法律の性格付けに注目

 もし、不正アクセスが行政法に近い性格を持っているなら、法律の保護する範囲については、実質的ではなく、形式的に示されていなければならない。「ネットワークの保護」という抽象概念に反することであれば、どのようなことも不正アクセス禁止法に違反しているとして処罰することは間違いであり、どのような行為が不正アクセスに当たるのかというその「形式」については、きちんと示されなければならない。

 そして弁護団は、「不正アクセスの取り締まりに関しては、『ネットワークを悪意のある犯罪行為から守らなければならない』という曖昧な概念で摘発するのではなく、あくまで不正アクセスの具体的な行為を厳密に定め、その行為に抵触したかどうかを厳密に判断して罰するという道路交通法的な取り扱いが求められる」と訴えたのである。

 こうした弁護側の意見に対して、検察側が最終的にどのような反論を展開するのかはまだわからない。だが、この裁判の今後の成り行きについては、セキュリティー業界のみならず、法曹界からも大きな注目が寄せられている。

〔毎日新聞〕


2004.11.13

ブログ荒らしに辟易Vol.10

インターネットは、本質的には何ら特別なものではありませんし、電信電話などと変わらないコミュニケーションのための一媒体にしか過ぎず、それ自体では何らの成果を生み出すものでもありません。

結局のところ、現実社会における様々な活動と同様に、インターネット上においてどのような実体的かつ実用的な活動を行なうかということ自体に、創作活動の成否あるいは経済活動の利益といったような実際の結果は左右されるのです。(続く)


2004.11.12

■ネット大手、成長続く 強者ますます強く 9月中間決算


 インターネット関連企業の好調が続いている。ヤフーや楽天など大手各社はそれぞれ過去最高決算を更新して成長中。ネットバブル崩壊を乗り越え、得意分野での圧倒的な強みが共通点だ。

 楽天が11日発表した04年12月決算の第3四半期(7〜9月)決算は、売上高が前年同期比で2・6倍、営業利益が同3倍に達した。「電子商店街」の取引金額は、四半期で初めて500億円を突破。中堅百貨店に並ぶ規模だ。

 ネットの世界では、客が首位のサイトに集中する傾向が強い。人気ページには情報が集まり、それを求めて客がさらに集まる好循環になる。

 このため、新興企業が乱立したネットバブルの崩壊を乗り切ったのは、各分野のトップ企業がほとんど。代表格のヤフーは、05年3月期に業界で初の「売り上げ1千億円企業」になりそうだ。主力のポータル(玄関)サイト事業は他社の追随を許さず、広告収入が好調。9月にはリクルート系の情報提供サイト運営会社オールアバウトと資本提携、ポータルの魅力向上に投資を続ける。

 各社の柱に育ちつつあるのが、金融業だ。ライブドアの9月期決算で経常利益が前年同期比で約3・9倍になるのは、今年3月に買収したライブドア証券(旧日本グローバル証券)など、利益率の高い金融事業が大きく貢献したためだ。楽天も、傘下の楽天証券が投資銀行業務への進出を決めるなど、事業拡大を続けている。

 得意事業をさらに強くしたり、新事業に一気に進出したりできるのは、早い時期に株式上場して巨額の資金を調達し、合併・買収(M&A)を有利に進めてきたからだ。

 ポータル事業で上位をうかがうエキサイトは、今月2日にジャスダックに上場。これまでは自前で若者に狙いを定めたポータルづくりを進め、固定ファンをつかみ成長してきたが、今後は株式交換によるM&Aが進めやすくなる。

 ただ株価の上昇を見込んだ業容の拡大は、株価低迷時に危うくなる危険性と背中合わせだ。市況が好調なうちに、主力事業の強化を急ぐ切迫感も出ている。

     ◇            ◇

◆ネット関連4社の決算

            売上高      利益

ヤフー         264     137

(7〜9月連結)  (50.9)  (48.7)

楽天          110      33

(7〜9月連結) (162.8) (209.2)

ライブドア       308      51

(9月期連結)  (184.5) (288.0)

エキサイト        29       2

(9月中間単独)  (29.9)  (44.0)

〈注〉単位は億円。カッコ内は前年同期比伸び率(%)。ライブドアは10月29日に発表した9月期本決算の速報値で、利益は経常利益。その他の3社は営業利益

〔朝日新聞〕


2004.11.11

■西武グループに解体の危機、膨大な含み益も枯渇へ

有価証券報告書の過少記載問題に端を発した西武鉄道グループの激震が止まらない。 だが、“パンドラの箱”は8カ月も前にこじ開けられていた。

話は今年3月1日にさかのぼる。警視庁が商法違反(総会屋への利益供与)容疑で西武鉄道専務(当時)の伊倉誠一らを逮捕するとともに、西武鉄道本社などを家宅捜索し、国税当局さえ把握できないと言われたコクドを中核会社とする西武グループの全体像をひもとく関係資料をごっそり押収した。そして8月10日、東京地方裁判所は被告全員に有罪判決を下した。

西武鉄道株を巡る動きが水面下で始まったのは、判決後間もなくのことだ。8月17日、コクドは保有する西武鉄道株のうち30万株を子会社の西武商事に売却。さらに23日には西武鉄道社長の小柳皓正が自社株式の売買をしないように取締役に注意喚起している。これに背き「コクドの指示」で株式売却に関与したとして常務の白柳敏行が辞任に追い込まれたが、これら一連の事象は、既にこの時点でコクドの持ち株の有価証券報告書への過少記載が問題化するとの情報をグループ首脳が認識していたことを物語っている。

みずほが金融支援迫られる?

もう1つ重要な動きがこの時期、起きている。8月30日、金融庁はみずほコーポレート銀行に対する2004年3月期決算の通常検査と2004年9月中間決算を対象にした特別検査に着手した。金融界では「コクドの経営悪化が深刻で、主力行のみずほが金融支援を迫られる」という観測が飛び交った。

2004年3月期末の西武鉄道の連結有利子負債は8966億円、これにコクドの長短借入金3540億円を合算すると、ざっと1兆2500億円になる。西武鉄道は2004年3月期に261億円の連結フリーキャッシュフローがある。コクドについては財務諸表が非公表のため営業利益を目安とするしかないが、赤字続きで現金収支はマイナス。要するに、頼みは西武鉄道の261億円のみ。そうなると有利子負債の合計1兆2500億円はフリーキャッシュフローの48倍に相当する。借金漬けの現状は危機的と言える。

西武グループには膨大な資産の含み益がある──世間にはまだこんなイメージがあるかもしれない。だが、もはや含み益も枯渇しつつある。これまで西武グループの信用力の源泉は、第1に4000万〜4500万坪というグループ保有の土地、第2にコクドが持つ西武鉄道株とされてきた。このうち土地の評価額はバブル期に12兆円とも言われたが、今や「1兆円にも届かない」(有力証券アナリスト)。「コクドの事業は赤字だらけで、ゴルフ場などを時価評価すると減損処理がかさんで大変なことになる」とコクドと取引関係がある信託銀行関係者は指摘する。

グループの信用力を支えていたもう1つの源泉である西武鉄道株は、過少記載問題で上場廃止が取り沙汰されて以来、急落している。11月1日の株価終値は482円。コクドの持ち分(発行済み株式の48.6%)の時価総額は1015億円に減少した。グループの土地評価額とコクドの西武鉄道株の持ち分時価総額を合算しても、有利子負債の合計額には達しない。つまり「担保割れ」の危機に瀕しているわけだ。

信用力が底を突きつつある中でデフォルト(債務不履行)を回避するには、資産を切り売りするしかない。10月25日、コクドは箱根仙石原プリンスホテル(神奈川県箱根町)を改修費含め約30億円で日産自動車に売却した。コクドがグループ外にホテルを売却するのは初めてのこと。西武グループの解体は既に始まっているようだ。=文中敬称略(特別取材班)

〔日経ビジネス〕


2004.11.10

■ベンチャー起業家が会社を興す動機(長谷川克也氏)

 老舗ベンチャー・キャピタル、セコイア・キャピタルのパートナー、マイク・モリッツが、ある集まりでシリコンバレーのいくつかのベンチャー企業の創業時の裏話をしているのを聞いたことがある。

 曰く、「ゲーム・ソフトのEA(エレクトリック・アーツ)社の創業者トリップ・ホーキンスは、アップル社勤務時の上司スティーブ・ジョブスよりも自分の方が優秀なセールスマンであることを証明したくてEA社を創業したのだが、当人は認めたがらないかもしれない」「これも当人に聞けば否定するかもしれないが、サイプレス・セミコンダクター社のTJロジャースは、AMD社時代のフラストレーションが起業の一番の動機だった」

 ベンチャー・キャピタルが投資先を吟味する際に重視するポイントの一つに、創業者やCEOがベンチャーを志し、経営する動機がある。つまり、この人物は結局のところ、何に突き動かされてこのベンチャーをやっているのだろうか? という点である。

 ベンチャー企業のCEOが、とことん追い詰められた時、白旗を揚げてしまうか、それとも踏ん張るかは、その人の経営能力もさることながら、この人はなぜこのベンチャーをやっているか? という点に大きく依存する。成功するベンチャーでも、そこに至るまでには危機や修羅場が何度かあるのが普通である。投資先と運命を共にする投資家としては、そのCEOの心の底にある動機を見定めたいのである。

 創業者、経営者の動機と一口に言っても、通常それはその人のそれまでの人生や人格そのものを反映するもので、多種多様である。しかし、多くの場合、動機は3つの要素に分けられるように思う。

 一つ目の要素は、自らが持つ新技術、自らが行おうとしている新事業に対する使命感である。自分が生み出した新しい技術が世界を変えるのだという強い信念。新しい事業を通して世の中を良くするのだというビジョン。そのような使命感こそが、険しい起業プロセスの道のりを乗り越えるエネルギーの源泉である。ベンチャー・キャピタルにとっても、世の中に生み出そうとする新たな価値について、経営者と使命感を共有できればベストである。

 しかし、ベンチャーはビジネスである。いくら崇高な使命感を持っていても、経営者が金儲けに無頓着で、夢ばかり追っていたのではビジネスにならない。従って、創業者やCEOの、富を創造して手に入れたいという金銭欲は、起業の二番目の動機として重要である。ベンチャー・キャピタルも、預った資金を投資して増やすという出資者への責任を果たす必要があり、創業者やCEOが大株主の一員として、会社の利益向上、会社価値の向上に努めてくれなければ困る。

 ここで一番目の動機と二番目の動機、すなわち使命感と金銭欲の順番は重要である。使命感を持った人間の目を金儲けに向けさせることはできても、高級外車に乗って豪邸に住みたいのが動機の人間に、使命感が後から湧き出るのを期待するのは難しいからである。金銭的報酬は、あくまで社会に新しい価値を生み出したことに対する報酬として、後から付いてくるものである。

 しかし、起業の動機には三番目の要素として、起業家の心の底に個人的な思いが隠されている場合が多い。通常、その多くは非常に人間的で感情的な生臭い要因の場合が多いため、表立って語られることは少ない。

 トリップ・ホーキンスのように、「あいつよりも自分の方ができるはずだ」というライバルに対する対抗心はよくある話である。企業向けソフトウエアの分野では、オラクルのラリー・エリソンに対する敵対心に動かされる起業家が数多いと言われている。考え方ややり方の異なるメンバーと袂を分かち、自分の方が正しいことを証明することが大きな動機の場合も多い。歴史をさかのぼれば、シリコンバレーの起源とも言えるフェアチャルド社のショックレー研究所からのスピンアウトも、ショックレーのマネージメント・スタイルに対するメンバーの反発が強い動機になっていたことが、モノの本に書かれている。

 起業家の心の底の個人的な思いは、何も特定の個人に対する対抗心だけとは限らない。大企業のカサなしで生きていけることを証明したいため。一度目の起業で悔いの残る決断をして不完全燃焼だったため。前の会社を見捨てた投資家を見返すため。シリコンバレーという「本場」で成功したという称号を得たいため。一度目の成功が「まぐれ」でないことを証明するため。CEOという名刺を持ちたいため。その思いは様々である。

 もちろん、個人的な思いや情念だけでベンチャー企業が成功するわけではない。しかし、明確な使命感と適度な金銭欲を持った起業家の成功に、個人的感情のエネルギー注入が寄与している場合が多いことも、事実のようである。

 どこの国でも、組織の中で仕事をした人であれば、「何で、自分より能力の低いあいつの方が成功するんだ」「何で、自分のやり方の方が絶対いいのに、任せてくれないんだ」といった経験は少なからずあるはずである。しかし、この個人的感情のエネルギーが、日本の場合には会社という枠を越えて新しい技術や新しいビジネスを生み出すエネルギーに向かわないのは、実に勿体無い話である。日本ではこの膨大なエネルギーは、企業内での出世競争、社内政治、根回し、気配り……といった、世の中に新たな価値を生むことのないエネルギーに費やされてしまうように見受けられる。そして、それでも使い切れなかったエネルギーは、おそらく飲み屋での愚痴話として放出されるのであろう。

 起業インフラの整っていない日本で、「会社が嫌なら、起業しよう」などと気軽に言うつもりはない。しかし、トリップ・ホーキンスやTJロジャースは、飲み屋で会社の悪口を言っている時間があれば、きっとその間に起業アイデアを練り、自身の目標に向かって必要な勉強をしていたはずである。

◆長谷川克也氏◆◆
 東京大学工学部卒、同大学院修士、松下電器産業入社。GaAs IC, 画像処理LSI等の研究開発に従事。90-92年スタンフォード大学客員研究員。96年より再びシリコンバレーに渡り、松下電器のベンチャー・キャピタル組織の設立に参画、多数のベンチャー投資、事業開発を手がける。2002年松下電器退社。現在、ベンチャー・コネクションLLC社マネージング・ディレクター。

〔日本経済新聞〕


2004.11.03


ブログ荒らしに辟易Vol.9

また、事業としての採算をとること自体も、現実社会における様々な事業と比較してはるかに困難なウェブビジネスの世界で、ほんのごくごく一部の成功者であるところの球団買収に名乗りをあげている彼ら自身ですら、その成功の度合いが大きくなればなるほど、これまでの挑戦の対象であった旧態善とした体制に何時しか擦り寄ってきてしまっていることに気付かないでいるのでしょうか。

そもそもウェブビジネスの特質や可能性は、大規模な組織とは一線を画した小規模な個人事業にこそ開かれたものとして、台頭当初は縦割りの流通経済機構を打破し、根本から構造改革をしていく存在としてもてはやされたものでした。しかし悲しきかなその実情は、当初は体制への反骨精神や既存の経済構造の改革意識などといったベンチャーマインドをベースに、創造的な独自のウェブビシネスを確立した彼らも、過剰な利益追及と組織拡大、そしてひいては昨今の旧態経済社会への同化に勤しんでしまっているように見受けられます。

まさに本末転倒、自らが有していた限りない可能性と永続性を見失って、彼らの組織が縦割り化の一途を辿ってしまっていることが残念でなりませんし、メディアを通して伝わってくる代表者達の人物像を知るにつけても、そもそも彼らにはウェブビジネスが起業の際に選択せんとする種々数多(あまた〕の職種の一つに過ぎなかったのかと感じてしまいます。(続く)