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2006.07.31 |
【北京19日共同】中国インターネット情報センターは19日、6月末の中国のインターネット利用者が1億2300万人に達したと発表した。昨年末時点から1200万人増えた。 同センターは今回初めて青少年のネット利用率も調査。2億人いる小中学生のうち、15%に当たる3000万人が使用、高校生は半数以上に浸透しているという。 ブロードバンド(高速大容量)回線利用者は、7700万人で全体の約3分の2になった。中国のネット利用者数は米国に次ぎ世界2位。 〔日本経済新聞〕 大手製造業の工場で「偽装請負」と呼ばれる違法な労働形態が広がっている。この3年で労働局から違法と認定された企業の中には、キヤノン、日立製作所など日本を代表する企業の名もある。メーカーにとっては、外部から受け入れた労働者を低賃金で、安全責任もあいまいなまま使えるうえ、要らなくなったら簡単にクビを切れる好都合な仕組みだ。「労働力の使い捨て」ともいえる実態がものづくりの現場に大規模に定着した。 ●キヤノンや日立でも 全国の労働局が2年ほど前から立ち入り調査を強化。昨年度だけでも、メーカーなど請負を発注した660社のうち、半分以上の358社で偽装請負に絡む問題が発覚し、文書指導した。05年度までの3年間を見れば指導件数は年々倍増しており、「いたるところで見つかる状態」だ。 偽装請負の現場で働く労働者は不利な立場にある。担い手は20〜30代半ば。ボーナスや昇給はほとんどなく、給料は正社員の半分以下だ。社会保険の加入さえ徹底されず、契約が打ち切られれば、すぐさま失業の危機にさらされる。 請負労働者が働いているのは、ハイテク商品を扱う最新鋭工場が多い。 大分市郊外にあるキヤノンの子会社「大分キヤノン」の大工場。作業台に沿って、若い男女が立ち並ぶ。視線は手先に集中し、黙々と人気商品のデジタルカメラを組み立てる。多くは、請負会社から送り込まれた。県内のもう一つの工場と合わせると約4千人で、正社員の3倍以上の人数だ。大分キヤノンは昨夏、偽装請負があったとして大分労働局から改善指導を受けた。だが1年たった今も、違法状態は完全には解消できていない。 これまで偽装の実態が知られなかったのは、労働局が指導先の企業名を公表してこなかったからだ。朝日新聞が独自に調べたところ、この2、3年の違反例だけでも、日本を代表するメーカーが次々と見つかった。 キヤノンは宇都宮市の本体工場も昨秋に指導を受けた。このほかニコン、松下電器産業の子会社「松下プラズマディスプレイ」や東芝系の情報システム会社「ITサービス」、富士重工業やトヨタ自動車グループの部品会社「光洋シーリングテクノ」と「トヨタ車体精工」、いすゞ自動車系の「自動車部品工業」、今治造船、コマツの子会社「コマツゼノア」で偽装請負があった。 偽装請負の現場では、重大な労災事故も起きている。日立製作所の茨城県日立市の工場では04年9月、請負会社の作業員2人が発電機の検査中に感電し、死傷する事故が発生した。日立は安全対策を怠ったとして労働安全衛生法違反容疑で書類送検されたほか、偽装請負についても茨城労働局から改善するよう口頭で指導を受けた。 監督官庁がないため、請負会社で働く人の数はつかみにくい。厚生労働省の推計だと製造業だけでも04年8月時点で87万人に上るというが、働く人たちの多くが自分たちを派遣労働者と思い込んでいる。 メーカーの認識不足も著しい。関東各県の労働局が昨年製造業約9千社を対象にしたアンケートでは、回答企業1876社のうち「派遣と請負の区分を十分理解している」と答えたのは34%。多くが違法性を認識しないまま偽装請負を続けているのは間違いない。 ◆キーワード 〈偽装請負〉 メーカーなどの企業が、人材会社から事実上、労働者の派遣を受けているのに、形式的に「請負」と偽って、労働者の使用に伴うさまざまな責任を免れようとする行為。職業安定法や労働者派遣法に抵触する。職業安定法には懲役刑もあるが、適用されたことはほとんどない。 製造業への労働者派遣は04年3月に解禁された。これ以降、メーカーが他社の労働者を指揮命令して使うには、労働者派遣法に基づいて使用者責任や労働安全上の義務を負う派遣契約を結ぶ必要があるが、こうした責任・義務を負わずに済む請負契約で請負労働者を使う「偽装」の事例が後を絶たない。 本来の請負は、請負会社がメーカーから独立して仕事をする。自前のノウハウや設備を持ち、そこで生産した商品を発注元に納めるのが典型だ。 しかし、偽装請負では、請負会社は労働者をメーカー側の工場に送り込むだけで、仕事の管理はメーカー側に任せている。メーカー側はこうした立場を利用し、自社の社員や派遣労働者と同じように仕事を指図したり、勤務状況を管理したりしている。 厚生労働省は製造業への派遣が解禁された04年以降、メーカーに対し、「偽装請負」から「派遣」への切り替えを促してきた。しかし、派遣にすると、一定期間経過後には直接雇用を申し込む義務がメーカー側に発生する。 人件費アップを避けたい企業は、派遣への切り替えに消極的で、請負契約を続けたい意向が今も強い。 〔朝日新聞〕
低い賃金、短く不安定な雇用……。「偽装請負」の現場で働く若者たちには、景気回復の実感は乏しい。「結婚や子供なんて考えられない」「年をとってもこんな働き方を続けられるだろうか」。将来が見えない不安を抱えつつ、あてどなく漂う。 ●生活費は数万円、突然の解雇予告 5月下旬のある夜、大分市の飲食店に数人の若者が集まった。大手請負会社に所属し、キヤノンのデジタルカメラ工場で働く職場の仲間だ。 沖縄出身で30代前半の男性がぼやいた。 「昼休みはたった40分。メシを食う気力もない」 立ちっぱなしの作業でむくんだ足。ほこりから製品を守るための仕事着を着替えて食堂まで行くのに片道10分近くかかる。往復することを考えると、とても行く気にならない。だから昼休みは、空腹を我慢し、横になって午後の仕事に備える。 大分の大学を出て建設会社に勤めたが、給料が不満でやめた。今の仕事は「作業は単純で楽だけど、先がない。ずっと同じ仕事を同じ給料で続けるだけ。キャリアを積んだら上の仕事、ということもない」。前の仕事は、かんなの使い方が上達するなど、技量が上達する充実感があった。本当はふるさとの沖縄へ帰りたいが、いい仕事がないので戻れない。 ●一時しのぎ 福岡出身で20代前半の男性は、羽振りのいい生活にあこがれて大阪でホストをしていた。しかし、逃げた客の飲食代を背負わされ、借金取りに追われた。今の仕事は、借金の肩代わりをしてくれた親に返済するための一時しのぎだ。 見ず知らずの土地。請負会社に言われるままに寮に入った。「寮費の4万2千円は相場より高い。光熱費も水増しされている気がする」。寮には、自分と同じように全国各地から集まってきた若者が住み、送迎バスで一緒に工場に通う。 給料日前、金がなくて水とパンでしのぐこともある。「いつかまたホストをやりたい」
会社に文句を言ったが、担当者は「残業や休日出勤があれば計算上はあり得る」とにべもない。腹は立つが、仲間たちは「どうせ長く働くわけでもない」とあきらめ顔だ。今月、女性は工場をやめた。職を探しているが、同じような工場での仕事しか見つかりそうにない。 「これ、読んどいて」 5月末。愛知県内にあるトヨタ自動車グループの部品工場で働いていた男性(21)が、雇用主の請負会社から「解雇予告通知書」を渡された。 書類には「自己都合の欠勤が多く、反省がみられない。メーカーへ迷惑を及ぼした」とある。 仕事中にけがしたことへの対応や給料の前借りができなくなったことなどに、たびたび不満を訴えていた。「うるさいやつだから、クビにするのか」 男性は北海道出身で、つきあっている女性とともに工場で働き、寮でも同居していた。あわてて個人で入れる労働組合に相談し、会社と交渉してもらった。解雇は何とか撤回させたが、秋には契約が切れる。「どうせ更新してもらえない。北海道で次の仕事を探す」 ●冷たい視線 日本の製造業復活の陰で、顧みられることのない無数の若者たち。安い労働力をかき集めてメーカー側に供給する請負会社は、この10年で大きく成長したが、利益の源である彼らへの視線は冷めている。 「仕事に不満があっても実際に声を上げることはほとんどない」と請負会社の元幹部。
「最近の若者は、実力主義を『時給が100円高くなる工場へ移ること』と、はき違えていたりする。一生こんな賃金で使われ続ける彼らの将来は大丈夫かねえ。我々にとってはありがたい存在だけど……」 〔朝日新聞〕 |