DAILY SHORT COLUMNS - Daily Business -

 
2006.09.29 ■8月完全失業率は4.1%、7月と変わらず=総務省

 [東京 29日 ロイター] 総務省が午前8時30分に発表した労働力調査によると、8月の完全失業率(季節調整値)は4.1%で、7月の4.1%と変わらなかった。雇用情勢について総務省では「改善が続いている」と述べた。ロイターが事前にまとめた民間予測調査では4.1%との予測が多く、発表数値はそれに一致した。

 同省によると、失業率を小数第二位までだすと8月は4.14%で、7月の4.06%からやや上昇したという。男性の失業率は前月比で0.1%ポイント上昇して4.3%に女性は横ばいで3.9%となった。就業者数は前年比で16カ月連続、雇用者は18カ月連続の増加となった。

 非自発的離職による失業者数は、前年比10万人減少となった。減少は7カ月連続。自発的離職による失業者数は3万人減少で、マイナスは5カ月連続となった。

〔朝日新聞〕


■8月全世帯消費支出は前年比で実質‐4.3%、02年2月以来の大幅下落

 [東京 29日 ロイター] 総務省が午前8時30分に発表した8月の家計調査によると、全国全世帯(農林漁家世帯を含む)の消費支出は、前年比実質4.3%減だった。実額は29万2087円。名目では前年比3.3%減だった。下落幅としては、02年2月のマイナス5.1%以来の大幅な下落となった。

 ロイターが民間調査機関に行った聞き取り調査では、予測中央値で前年比実質1.3%減だった。発表の数字は予測を大幅に下回った。

 しかし同省では、景気を判断する上では、消費がこの数字ほど悪いとは考えないと述べた。8月支出の下落には、交際費、贈与など移転的な支出の下落幅が大きかったこと、家屋のリフォーム費など高額ながら頻度の少ない項目の下落が大きかったこと、交際費やリフォーム費への支出減についても、前年同月の支出が高かったことの反動があること、などが影響したためだ。 

 同時に発表された季節調整済み全世帯消費支出は前月比0.6%減となった。勤労者世帯(全国・2人以上勤労者世帯)の実収入は実質で前年比1.8%増だった。

 消費性向は77.6%と、前年同月の83.0%から低下したが、支出が減ったことの他、収入が増えたことが影響した。

 総務省は2月分から公表形式を変更し、農林漁家世帯を含む全世帯、勤労者世帯などを月末に発表している。

〔朝日新聞〕


■平均給与、8年連続減少 国税庁調査

 景気回復に伴って雇用は増えたものの、1人あたりの給与は減っている――。国税庁が民間企業で働く人を対象にした05年の民間給与実態統計調査で、こんな傾向が明らかになった。1年間に受け取った平均給与は前年より2万円少ない437万円となり、8年連続の減少。一方で、納めた所得税の総額は老年者控除廃止などの影響もあって2年連続で増えており、庶民の懐はなかなか温まらない。

 1年を通じて勤務した給与所得者の数は4年ぶりに増え、41万人増の4494万人。給与総額も8年ぶりに増加し、196兆2779億円(前年比0.4%増)。しかし、給料に対する賞与の割合は97年の24%から減り続けており、05年は18%。国税庁は「企業側が正社員を減らし、派遣社員などを増やしている実態が反映しているのではないか」とみている。

〔朝日新聞〕

 


2006.09.28

■専門学校の入学者激減 年50校廃校

 専門学校に進む学生が今春、大幅に減った。今春の入学者は昨年より2万6000人、率にして一気に8%も減少した。就職率が高い専門学校への進学者はこれまで、少子化が進んでも堅調に推移してきたが、就職環境の急速な改善や、専門学校で教えてきた分野への大学の進出が打撃となったようだ。

 短期間の教育で、多数の即戦力の人材が輩出してきた専門学校。入学者数は、第2次ベビーブーム世代が18歳を迎えた92年度に36万人を超え、ピークを迎えた。「超氷河期」と呼ばれた90年代前半から一昨年の間も、資格を得て、手に職を付けようと考える学生が多く、毎年31万人から36万人が入学していた。

 微増が続いていた状況に変化が見えたのは04年度で、前年度より減少に転じた。減り方はまだ小さく、1%ほどにとどまっていたが、今年度になって急に前年比8%も激減した。この事態は、専門学校が76年に誕生して以来初めてのことだ。

 全国専修学校各種学校総連合会(全専各連)の分析では、主な原因は三つある。特に今年顕著だったのは、景気回復と団塊の世代の大量退職による高校新卒者の就職環境の急速な改善だ。02年には90%を切った就職内定率(各年3月末現在)は、06年には96%にまで改善。求人倍率(同)も、03年の1.21倍から06年には1.61倍にまで回復した。

 さらに追い打ちをかけたのが、「大学の専門学校化」だ。少子化の中で学生を集めようと、私立大を中心に、これまで専門学校で学ぶケースが多かった看護や介護、さらには観光や動物関係も教える大学が増えている。

 さらに少子化によって、地方国立大や中堅以下の私立大の競争率の低下も影響している。高校新卒者の大学入学志願率は年々上がり、今年ついに50%に達した。進学校以外の高校の先生や、これまでなら専門学校に進んでいた学力層の生徒にも「大学に入れるかもしれない」という認識が広がる。

 学生の減少を受け、服飾や情報処理など人気が落ちている分野の専門学校を中心に、最近では年間50校前後が廃校になっている。それでも不人気校を廃校にした学校法人が、一方で生き残りをかけて人気のある動物やリハビリテーション関係の学校を開校させるなどして、学校数は横ばいが続く。

 全専各連の菊田薫事務局長は「今までにない急激な落ち込み方に驚いている。大学への進学実績を競っている高校が、入りやすくなった大学への進学を生徒に勧める傾向を強めている影響もあるようだ」と話した。

〔朝日新聞〕


2006.09.27

■EdyやSuicaなど4陣営、決済端末を共通化へ

 携帯電話やカードを端末にかざすだけで少額の代金支払いができる小口決済サービスの4陣営は26日、現在は規格が異なる読み取り端末を来春にも共通化することで合意した。

 27日に発表する。4陣営の会員延べ約4000万人が使えることになり、携帯・カードの小口決済サービスの普及に弾みがつきそうだ。

 規格を共通化するのは、ソニーを軸としたビットワレットの「Edy(エディ)」(会員数2100万人、加盟店4万3000店)、JR東日本が運営する「Suica(スイカ)」(同1750万人、8300店)、NTTドコモの「iD(アイディ)」(同75万人、5万店)、ジェーシービー(JCB)やトヨタファイナンスなどが手がける「QUICPay(クイックペイ)」(同7万人、1万店)。JR東とNTTドコモが読み取り端末を共同開発、その後、他の2規格も使えるようにする計画だ。

 4陣営の加盟店数はコンビニエンスストアや飲食店などを中心に、10万店を超える。現在はそれぞれの規格に応じた端末を用意する必要があり、共通端末が登場すれば、顧客の利便性が一気に高まることになる。

 エディとスイカは事前に入金し、その範囲内で支払いができる電子マネーだ。アイディとクイックペイは、携帯電話などを端末にかざして支払いを済ませ、金融機関の口座から後日、代金が引き落とされるクレジット方式を取る。

〔読売新聞〕


2006.09.19

■基準地価、3大都市圏16年ぶり上昇 東京23区は全地点

 国土交通省は19日付で、7月1日時点の都道府県地価(基準地価)を公表した。不動産投資が活発になっている東京、大阪、名古屋の3大都市圏では平均で住宅地が0・4%、商業地が3・6%、それぞれ上昇した。3大都市圏での地価上昇は16年ぶりで、バブル経済の崩壊後、初の反騰となった。地価上昇を受けてマンション分譲業者には、今秋、大都市部での販売価格を前年より1〜2割引き上げる動きが出ている。地方でも下落率が縮小し、政令指定都市や県庁所在地、一部リゾート地で上昇地点が増えた。地価の持ち直し傾向が全国的に広がっている。

 全国平均では住宅地が2・3%、商業地が2・1%それぞれ下がり、いずれも15年連続の下落。ただ下落幅は住宅地で1・5ポイント、商業地で2・9ポイント縮小した。91年のバブル崩壊直前の地価を100とすると、今回の水準は住宅地で65・5、商業地で39となっている。

 3大都市圏のうち最も上昇率が大きいのは東京圏で、住宅地は平均0・7%、商業地は3・9%上昇した。大阪圏は住宅地は横ばいだが、商業地は3・6%上昇。名古屋圏は住宅地が0・1%下げたが、商業地は2・4%上昇した。上昇率首位の地点は、周辺で大規模なビル開発が相次ぐJR名古屋駅前の大名古屋ビルヂング(35・2%上昇)で、3年連続。

 東京23区内では19年ぶりに住宅地と商業地の調査地点667カ所のすべてが上昇に転じ、資産デフレ脱却を印象づける結果となった。都心の一等地や一部住宅地では基準地価の数倍での高値取引があり、「ミニバブルが起きている」と警戒する声が増えている。

 住宅地では超高層マンションや高級住宅街が点在する港区が24・0%、つくばエクスプレスの開業効果に沸く足立区が12・7%の大幅な上昇率となった。全国の地価トップは13年ぶりに返り咲いた東京都中央区の明治屋銀座ビルで、1平方メートルあたり1900万円。

 都道府県別では、住宅地で東京、愛知が上昇に転じた。商業地では東京が前年に続き上昇し、千葉、神奈川、愛知、滋賀、京都、大阪で上昇に転じた。景気回復の足取りが鈍い県では下落幅が依然として広がっている。山形、島根、香川、高知、長崎、大分、宮崎では住宅地の下落幅の平均が前年より0・1〜0・3ポイント拡大。熊本は全国で唯一、商業地の下落率が悪化した。

 3大都市圏を除く指定市や県庁所在地では、札幌が住宅地で平均1・2%、大津で0・7%上昇。商業地では札幌、仙台、静岡、大津、福岡で上昇に転じた。福岡・天神では30%超上昇した地点もあった。

 観光地での地価上昇も出てきた。上昇率で全国3位の地点がある北海道倶知安(くっちゃん)町は、スキーやラフティング目当てに外国人らが押し寄せる道内屈指の観光地になり、宿泊施設の建設が増えている。長野県軽井沢町では下落地点がなくなった。

◆キーワード

〈基準地価〉 国土利用計画法にもとづき、都道府県知事が基準地点ごとに1平方メートルあたりの7月1日時点の評価額を公表する。基準地点は毎年一部を入れ替え、今年は2万5346地点。他の土地取引の公的指標としては、相続税や贈与税の算定基準となる国税庁の路線価、政府や自治体が公共用地を買う目安となる国交省の公示地価などがある。

〔朝日新聞〕


■不夜城、迫る再開発 地価上昇、新宿ゴールデン街

 19日付で公表された基準地価は、大都市と有名リゾートでバブル崩壊以来の上昇に転じた。地方の多くが景気回復から取り残される一方、16年ぶりに地価が上昇した「不夜城」新宿・歌舞伎町では再開発計画が始動し、スキーリゾートで知られる北海道倶知安(くっちゃん)町は相次ぐマンション建設の影響で住宅地としては上昇率全国1位に。全国平均の地価の下落幅が縮小した背景には、こうした一部の土地での不動産投資の活発化があるようだ。

●50階ビル構想も

 歌舞伎町のはずれにある古びた飲み屋街「新宿ゴールデン街」。半世紀にわたって作家や演劇人らに愛されてきたこの街は、権利関係の複雑さゆえに高度成長からもバブル景気からも取り残されていたが、今年に入り再開発構想が動き始めた。背景には、景気回復によるオフィスビルの需要増が見え隠れする。

 ゴールデン街は歌舞伎町の東端、かつての「青線」で、58年の売春防止法全面施行後は酒場街として発展した。現在約200店が営業している。

 今年5月、街の南部分の地権者と周辺ビルの地権者らが「歌舞伎町一丁目東地区まちづくり協議会」を発足。6400平方メートルの再開発をめざし、来年度中に基本構想をまとめる予定だ。ホテルやオフィス、娯楽施設の入る50階規模のビル構想もあり、協議会の萩原征男会長は「家族連れで楽しめる施設が目標」と言う。

 店舗の多くが築50年を超え、地震や火災への備えが十分ではないとして、「消防車の通れないこの街が、現状でいいはずがない」。南部分の地権者17人でつくる「花園街商業協同組合」理事長でもある萩原さんは再開発の必要を説く。

 再開発の機運が高まった背景には、08年に開通する地下鉄13号線の新駅開業と、JR新宿駅から続く地下街の延伸構想もあるとみられる。不動産仲介大手の三鬼商事によると、新宿区など都心5区のオフィスの空室率は8月末、14年ぶりに3%を割り、ビル不足の深刻化が懸念されている。大手不動産会社の担当者は「ゴールデン街は、都心で最も可能性を秘めたエリアの一つ」と話す。

●店主ら「歴史壊さないで」

 一方、バブル期に地上げの波にさらされながら、バブル崩壊で生き延びたゴールデン街は、新たな文化の発信地として活気を取り戻しつつある。期限つきの賃貸借契約「定期借家権」制度が00年にでき、月12万円程度の家賃で出店する若者が増えてきた。

 あわせて変わらぬたたずまいに愛着を持つファンも多く、常連客や酒場の経営者らには再開発への不安も聞かれる。

 「木造の建物に染みついた歴史が醸す雰囲気は、壊してしまえば二度と作れない」。32年前から「呑屋(のみや)しの」を営む木島三代子さん(65)は話す。

 10席ほどの店内では、作家や映画監督、役者をめざす若者が映画論や文学論を戦わせた。作家の故・中上健次もその一人だった。常連客のフリーライター、平野ゆりさん(50)は「店で出会った熱くて粋な人たちから多くを学んだ。若い人にもこの宝を残したい」。2年前にバー「しんしら」を開いた大金ふみよさん(39)は、人間関係に疲れ、会社勤めを辞めた。「肩書にとらわれず、素のままの一個人として接してもらえる場がここにはある」

 こうした声に萩原さんは、「このままにはしておけないが、街の文化を残す方法があるかもしれない」。基本構想を策定後、飲食店主や文化人らとも話をしたいという。

 再開発について、新宿区地域整備課は「民間開発だが表面だった問題はなく、支援していきたい」としている。

◆様変わりは寂しい

 作家の佐木隆三さんは76年に「復讐(ふくしゅう)するは我にあり」で直木賞を受賞した当時、ゴールデン街に入り浸り、酔いしれては店で夜を明かした。安酒のグラスを片手に、文学、演劇、映画界の人々がごちゃ混ぜになって議論を交わし、刺激を与え合うのが魅力だった。

 再開発の動きについて、佐木さんは「東京の一等地に、戦後の混乱期の面影をしのばせる飲み屋街が残っていること自体が魅力的なこと。再開発が進めば、街はがらりと様変わりするだろう。思い出の詰まった場所だけに寂しい」と話す。

〔朝日新聞〕


■最高益競う不動産各社 オフィス需要も好調

 地価の持ち直しを追い風に、不動産各社の業績が好調だ。住宅分譲価格の引き上げに成功し、オフィスビルの空室率も極めて低くなっている。また、地価反転を後押しした不動産ファンド会社が投資規模をますます拡大し、銀行が不動産融資を増加させるなど関連市場も熱を帯びてきた。「バブル再来」への警戒感も少しずつ高まり、金融当局には不動産融資の監督を強化する動きも出ている。

●空室率改善・賃料アップ

 三井不動産、三菱地所、住友不動産の不動産大手3社の収益の柱は、オフィスビル賃料とマンション分譲だ。そのいずれも好調で、07年3月期決算では3社とも最高益になる見通しで、連結営業利益は3社合計で4200億円超が見込まれている。

 5%割れで貸手優位になるといわれるオフィスの空室率では三井と三菱は1%台前半をうかがう。賃料も上昇している。都心での新築ビルの開業ラッシュで過剰供給が心配された「03年問題」を完全に乗り越えた形だ。

 同様に「07年問題」も懸念されたこともあったが、景気回復とともに内外の企業のオフィス需要が強まり、いまやほとんど問題となっていない。

 マンション分譲専業の不動産会社ではこのところ、決算予想の上方修正が相次いでいる。

 大京は07年3月期の連結当期利益予想を27%上方修正して215億円とした。4〜6月期の粗利益率は前年同期比6ポイント増の21%に改善した。

●金融庁、バブル警戒強化

 一方、国内の不動産市場を活性化しようと01年に創設された不動産投資信託(Jリート)市場は拡大を続けている。住信基礎研究所の推計では、6月末現在、Jリートと不動産私募ファンドの市場規模は合計で約10兆円。この1年間で1・7倍に増えた。

 資金の出し手の多くは、金融機関をはじめとする機関投資家だ。関東のある銀行は自己資金約350億円をJリートで運用している。運用担当者は「今後も都心の不動産市場は拡大する。さらに投資額を増やす」と意気込む。

 背景には融資対象となった事業からの収益だけで銀行への返済原資をまかなう貸し出し方式「ノンリコースローン」が銀行業界で浸透し、不動産証券化をしやすい環境が整ってきたこともある。

 これが不動産融資の拡大にも拍車をかけている。日本銀行の統計では、05年度の銀行の新規貸し出し(運転資金向け融資を除く)で不動産向けが2割を占めた。これはバブル経済期に並ぶ高い水準だ。

 不動産熱の高まりを受け、金融庁は今年度の金融機関の検査・監督で、金融機関が保有資産のリスクを十分管理しているかどうかを重点的に調べる方針を打ち出した。

 みずほ証券の石沢卓志チーフ不動産アナリストは「都心の商業地の値上がりは将来の収益性を評価したもので、バブル期とは異なる。ただ、まれに収益性の低い物件が高値で売買される例も見られ、バブル的な要素を否定はできない」と話している。

〔朝日新聞〕


2006.09.18

■高校生採用が解禁 団塊退職で求人増も「地方厳しい」


 来春に卒業を予定している高校生に対する企業の採用活動が16日、解禁され、各地で採用試験が始まった。

 今年は景気回復に加え、平成19年から始まる団塊世代の大量退職に備えて、製造業を中心に企業の求人が増加。一方で大都市部と地方の格差も広がっている。

 厚生労働省若年者雇用対策室は「全体としては昨年よりもやや楽になるかもしれないが、地方はまだまだ求人の絶対数が少なく厳しい」とみている。

 厚労省のまとめによると、7月末時点の全国の求人数は約23万8000人、求職者数は約20万9000人。求人倍率は1.14倍で9年ぶりに1倍を超えた。最も高い東京都の4.41倍に対し、最も低い青森県が0.17倍となるなど、北海道や東北、九州は低水準にとどまった。

〔産経新聞〕


2006.09.09

■ネット検索サービス:グーグル、日本市場の攻略目指す

 インターネット検索サービスの覇権争いが激化している。検索に連動した広告を収入源に多様なサービスを無料提供して急成長している米グーグルは、8月から始めた大容量・無料の電子メール「Gメール」サービスをテコに日本市場の本格的な攻略を目指す。これに対し、最大手ヤフー・ジャパンやマイクロソフトも検索の使い勝手の向上などで防戦に必死だ。

 グーグルは従来、利用者のニーズにあった検索結果の迅速な表示を売り物にしてきたが、最近は自宅と会社の別々のパソコンに保存されたファイルを横断的に検索できるサービスなどを矢継ぎ早に拡充。デジタル化した世界中の書籍情報から、書名や筆者、本の内容まで検索できる「ブック検索」の日本語版も年内にサービス開始の予定。

 米国では、6日に開始したニューヨーク・タイムズなど過去200年分の欧米主要紙の記事を閲覧できる「ニュース・アーカイブサーチ」も話題。日本語版も検討しているとみられる。

 無料メールサービス「Gメール」はこれまで既加入者の紹介がなければ利用できなかったが、8月からは登録さえすれば誰でも利用できるようにした。パソコンのメモリー容量を気にせず画像付きメールなどをやり取りできるのが売り物。このサービスをテコに検索首位のヤフーを追撃する。

 ライバルのマイクロソフトやヤフーも対抗に躍起だ。マイクロソフトは無料メールサービスの容量を今夏から2ギガバイトに増強。世界中の衛星写真が楽しめるグーグルの地図検索サービス「アース」に対抗し、衛星写真による地図と地域情報をまとめた新サービスを近く日本で始める。ヤフーは、ポータル(玄関)サイト上に「グルメ」「スポーツ」「セカンドライフ」など細かく分類表示し、初心者でも簡単に目的の情報にたどりつける工夫を凝らしている。【森有正】

〔日本経済新聞〕


2006.09.08

■東大が格付け取得、国立大初の「トリプルA」

 東京大学は7日、格付投資情報センター(R&I)から最上級のトリプルAの発行体格付けを取得したと発表した。大学の格付けはこれまで早大、慶大、同志社大が1つ下のダブルAプラスを取得したのが最高で、トリプルAは初めて。東大は学生募集力の強さや研究資金の豊富さ、経営の先進性が評価された。

 大学の格付けは総合的な債務の履行能力を示す。3月末の東大の総資産は都内の一等地にある本郷キャンパスの土地など約1兆3000億円。借入金は750億円にすぎず、自己資本比率は82%に達する。

 フロー面では昨年度で877億円の国の補助金(運営費交付金)を確保。R&Iは「交付金制度などに支えられ、収支が恒常的に赤字になることがまずない国立大の信用力は極めて高く、中でも東大の安定度は特に高い」と判断した。

〔日本経済新聞〕


■シリコンバレー全域に無線LAN無料接続サービス

 【シリコンバレー=時事】ハイテク産業の世界的集積地である米シリコンバレー地域の代表者団体は6日までに、IBMやシスコシステムズなどから成る企業連合「シリコンバレー・メトロ・コネクト」に委託し、全域をカバーする高速無線インターネット接続網を構築することを決めた。

 接続技術には、無線LAN(構内情報通信網)で使われる標準規格「Wi−Fi(ワイファイ)」を採用。サンフランシスコに近いデーリーシティーから、南部のサンタクルズまで40前後の自治体が参加し、240万人を抱えるシリコンバレー全域を網羅する見通しだ。

 同企業連合は各自治体と正式契約後、来年にも3万カ所を超えるアンテナの設置を始めたい意向。完成すれば、シリコンバレー全域で無料ネット接続が屋外でも可能になる。高速接続サービスも月額15ドル(約1700円)程度の有料で提供するという。

 米国では、デジタルディバイド(情報格差)解消に向けて、「ネットは不可欠な公共サービス」(サンフランシスコのニューソム市長)との考え方が浸透しつつあり、同市やフィラデルフィア、シカゴといった大都市が相次いで公共ネット網の構築を進めている。

〔産経新聞〕


2006.09.07


■グーグル、新聞200年分のアーカイブ検索サービス


 【ワシントン=渡辺浩生】インターネット検索エンジン最大手の米グーグルは6日、歴史的な出来事について過去200年以上の欧米紙の記事を検索できるサービスを英語版ウェブ上で開始した。自分が知りたい事件を当時の記事がどう伝えたかを閲覧できる。歴史マニアには目が離せないサービスになりそうだ。

 グーグルニュース(http://news.google.com/)にアクセスして「アーカイブサーチ」をクイック。例えば「日露戦争(Russo−Japanese War)」で検索する。

 すると米紙ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズなど計16300件の関連記事があると表示される。時期や人物(例・東郷平八郎)で絞り込めば、開戦(1904年2月)から日本海海戦の勝利を経てポーツマス条約で講和(05年10月)するまで当時のメディアが詳細に戦況を伝えていたことが分かる。

 全文閲覧の場合、ニューヨーク・タイムズなら1本4・95ドル(約580円)で記事を購入することになる。

 従来のニュース検索は過去30日分の最新ニュースの表示だった。今後は歴史的資料の発見に利用が広がる。英紙ガーディアン、米経済紙ウォールストリート・ジャーナルなども記事を提供する。

 グーグルは「われわれの目標はより多くの世界中のコンテンツをサービスに取り込むこと」と語り、今後は他の言語にも広げていく計画だ。

 グーグルニュースをめぐっては、当初メディア業界が「無断掲載で著作権侵害にあたる」と反発したが、次第に「コンテンツ保有者に新たな収入源を提供できる」(ロイター通信)との認識も広がってきている。

〔産経新聞〕