home  ›› mindshooting essays  ›› what's cool life!?  ›› 0028

MINDSHOOTING ESSAYS -What's Cool Life!?-

バックナンバー 0028

●○●第28号●○●

≪号外≫

STOP ROKKASHO!
("What's Cool Business!?" & "What's Cool Life!?"共通)



新潟県中越沖地震で大きな被害を受けた東京電力柏崎刈羽原子力発電所
の放射能洩れ事故以来、
このところ国民の原発の在り様への関心も次第に高まりつつあるようです。

今、地震大国である日本には55基もの原発があり、
国内総消費電力の1/3を賄っているのも事実です。
私達の日々の暮らしに電気は不可欠、
国民のすべてが原発という核技術による電気の恩恵を享受しているのです。

どんなに素晴らしい科学技術にも光と影があり、
その両面をまず知ること、
そして自ら考え選択をしていく他はありません。
科学技術の完全否定などできようはずもないのですから。。。

 

昨年3月に、青森県六ヶ所村の核燃料再処理工場が試運転を開始しました。

今年11月に予定されていた本格運転が、
今年4月に工場内の一部装置で協力会社による耐震計算ミスが発覚し、
耐震補強や安全確認などで試験スケジュールがずれ込んだ影響で、
現在のところ来年の2月までの延期が発表されています。

本格運転が始まると、多種類の放射能が大量に放出されます。
大気中には、あのチェルノブイリ原発事故の10倍ものクリプトン85
という放射能が毎日放出され、
海洋には、トリチウムやヨウ素129などの放射能が、
2日に1回600トンも放出されるのです。
200kgドラム缶に換算すると、
1回に3000本、月に4万5000本、年間54万本にもなる量です。

その結果、魚がトリチウムによって1年間で300ベクレル汚染されると
青森県が認めています。
魚の汚染値は、2年目以降さらに増加していきます。

チェルノブイリ原発事故の後、
放射能汚染食品が大量に輸入されるようになった時、
国が輸入禁止を決めた数値は370ベクレル(セシウムという放射能)でした。

放射能汚染は、青森県だけでなく、東北・北海道を中心に日本全体へ、
そして世界に拡がっていくと予想されています。
そしてこの再処理工場は、今後40年間稼働し続ける予定です。

 

最近TVで喧伝されている政府と電力会社が押し進める
プルサーマル計画のCFをご覧になったことがおありでしょうか。

火力発電のようなCO2を排出しない
あたかも温暖化対策の切り札であるかのような、
原発によりほとんどが廃棄物となる核燃料から
プルトニウムを取り出して再利用しようとする
エコロジカルな計画であるかのようなその内容は、
原発の知識に乏しい一般国民には、
21世紀の素晴らしい夢のエネルギー政策であるかのように映ることでしょう。

しかし、再処理工場では日常的に放射能を放出するのです。
これまでは、原発で事故が起こっても
「放射能洩れはありません」という報道にほっとしてきましたが、
今後は日常的に魚や米、野菜や果物などから
放射能が検出されるようになっていくのです。

原発による電力の恩恵を享受してきた我々の世代は、
その報いとしてそれらを食べ続けることとしても、
これからの日本を支えていく若者達や私達の子供達に
放射能汚染食品を食べさせたくはありません。

食料自給率が40%の日本を事実上支えてきた
東北や北海道の食品が放射能で汚染されていった場合、
いったい今後の日本の私達の生活が成り立っていくのでしょうか。

少子化が進み、医療費の自己負担が大きくなって困っている
高齢者に病気が増えたらどうなるのでしょう。

 

27年前の1980年に日本政府は、
原発が生み出す低レベル放射性廃棄物を太平洋に投棄しようと計画しました。

「低レベルの放射能だから大丈夫」との政府の説明にも、
長い間核実験によって海や島を汚染されてきた
太平洋の島々の住民達は猛反発しました。

「本当に安全ならば東京湾に投棄すればよく、
遠い太平洋まで何故持ってくるのか」、
これ以上放射能で汚染されたら、もう子供達が生きていけなくなる
と反対運動を続け、ひいては国際世論を動かし、
ついに日本政府は計画を断念したのです。

この時に日本政府が投棄しようとした放射性廃棄物の量は、
ドラム缶で5000〜1万本でした。
今回六ヶ所村の再処理工場が放出する量は、
海洋だけでも1年間で54万本、
稼働予定の40年では2160万本にも及ぶのです。
さらにこれに加えて大気中にも大量の放射能が放出されます。

にもかかわらず、日本政府と電力会社は、
大気と海水で拡散されて汚染はされないと主張し続けていますが、
読者の方々はどうお考えになるでしょうか。

政策を決定する議員も、問題の大きさを知らない人達がほとんどですし、
地球温暖化を防止するためには原発推進しかない
と考える政治家もたくさんいます。

しかし原発は、燃料であるウランの鉱山を掘る段階から放射能汚染を拡げ、
先住民に被曝者を生み出し、
原発の稼働中に日々生まれる高レベル放射性廃棄物は、
少なくとも数万年は管理を続けなければならず、
安全管理の保証など何人にも不可能です。

ましてやそこから核爆弾製造に不可欠なプルトニウムを取り出すために、
日々かけがえのない私達の地球を、
後始末ができない基準で汚染し続ける放射能を
大気中と海洋に投棄し続けることなどとても許容できるものではありません。

 

しかし、私達の意識が変われば、問題は解決できるのです。
北欧やドイツなどの環境先進国のように、
省エネと自然エネルギー利用を大胆に推進していけば、
原発は不要になります。

軍事や原発に投入してきた膨大な国家予算を、
省エネや自然エネルギー開発に回せばよいのです。
例えば、一般家庭へのソーラーパネル設置を助成することで、
その家庭の必要電力の多くを賄うなど、方策はいくらでもありますし、
実際には現時点で国内の原発をすべて止めたとしても、
電力は不足しないという試算研究もあるのです。

ウェブで六ヶ所を検索すれば、多くの情報が得られます。
以下にいくつかご紹介します。
http://stop-rokkasho.org/
http://stop-rokkasho.jp/
http://ameblo.jp/rokkasho/
https://www.sirase.net/organic/emergency/6kasho.html
http://www.greenpeace.or.jp/campaign/nuclear/plutonium/rokkasho/

 

また、鎌仲ひとみ監督のドキュメンタリー映画「六ヶ所村ラプソディー」
をご覧になることを強くお薦めします。

賛成反対を超えて中立な立場で、
日本の原子力産業の要である使用済み核燃料再処理工場がある
青森県六ヶ所村に生きる村人達の取材を通して、
曇りや偏りのない現実を提起し、私達自身の選択を迫る素晴らしい映画です。

着実に草の根の活動が拡がりつつあり、
全国で自主上映される機会が増えてきています。

私の知るところでは、もう明後日ですが、
友人が実行委員の一人である自主上映会が以下のように開かれますので、
都内近県にお住いの読者の方はおでかけになってはいかがでしょうか。

http://nejimakigumo.bitter.jp/6rhapnishitama/6rhapnishitama.html
六ヶ所村ラプソディー上映会
10月8日(月曜祝日)
羽村市生涯学習センター/ゆとろぎ
羽村市緑が丘1-11-5
042-570-0707
コイケリューイチ氏アフリカ親指ピアノライブ有り
12:30/開場(ライブ)
13:00/鎌仲ひとみ監督挨拶
13.15〜15:15/上映
15:15〜16:00/鎌仲ひとみ監督トーク
前売1,000円/当日1,200円(高校生以下300円)
チケット取扱販売店/ねじまき雲0428-85-9228

〜次号に続く

‹‹ prev next ››